風がその上を過ぎると、うせて跡なく、 その場所にきいても、もはやそれを知らない。
主の息がその上に吹けば、 草は枯れ、花はしぼむ。 たしかに人は草だ。
彼を見た目はかさねて彼を見ることがなく、 彼のいた所も再び彼を見ることがなかろう。
しかし人は死ねば消えうせる。 息が絶えれば、どこにおるか。
エノクは神とともに歩み、神が彼を取られたので、いなくなった。
声が聞える、「呼ばわれ」。 わたしは言った、「なんと呼ばわりましょうか」。 「人はみな草だ。 その麗しさは、すべて野の花のようだ。